なんと Design Sprint Newsletter の登録者が100人を超えました!登録者の皆様、ありがとうございます。人気のYouTuberの登録者数が数百万人とか言っているところで、桁の違う100人なんて…と思いがちですが、僕にとってはとても大切な100人のみなさんです。
◆デザインスプリントやワークショップに欠かせないオヤツ
デザインスプリントに欠かせないものと聞いて、何をまず思い浮かべるでしょうか?「ポストイット!」もちろん。「ホワイトボード!」もちろん。それから案外忘れがちで、でもあると大変喜ばれる準備品に「オヤツ」があります。
ではどんなオヤツを用意するのが良いのでしょう?オヤツを用意して!とお願いすると、往々にしてその人が好むお菓子に偏りがちです。どんなにポテトチップスが好きでも手で直接つまむオヤツはポストイットやペンを汚すので向きません(ポテトチップス専用の箸やトングもありますけれど)。食べる時にポロポロ崩れるお菓子もあまり向いていません。向いているのはチョコやクッキーなどです。デザインスプリント本でも、チョコクッキーが推薦されています。脳を使い続ける同時通訳の通訳者も、常にチョコを携帯しているそうです。
昔懐かしラムネは、糖分なしで、脳が必要とするブドウ糖のみを急速に摂取できるので、脳をブーストするには向いています。大粒ラムネはコンビニやスーパーでも手軽に手に入ります。過去、最も評判が良かったオヤツは、ステラおばさんのクッキーや人気のパン屋で購入した菓子パンでした。アルフォートや、ブラックサンダー、ベイク、キットカットなどチョコ系のお菓子も人気です。おせんべいのような食べる時に大きな音がするお菓子は人気がありません。お菓子を配る場合は、テーブルごとにゴミ袋やゴミ箱を用意しましょう。紙を折って作った簡易的なゴミ箱でかまいません。
オヤツの他にも100%果汁のフルーツジュースや、コーヒーやアイスティーなどのカフェイン入りの飲み物、ペットボトルのミネラルウォーターやノンシュガーのお茶などもあると良いでしょう。飲み物は好みがあるので場合によっては参加者各自に用意してもらうのが良いかもしれません(お菓子も好みがあるかもしれませんが、飲み物ほどのこだわりは無い気がしています)。できればペットボトルか蓋つきの飲み物にしましょう。同じ飲み物が多い時には間違えないよう名前を書いたり、ポストイットを貼っておいてもよいかもしれません。
紙コップに、なみなみと注がれた飲み物をテーブルの上に置いておくと、注意していたとしても、いつか倒してこぼす可能性があります。マーフィーの法則的に考えると、こぼれる可能性があるものは、いつかこぼれると考えておくのが良いでしょう。飲み物をこぼして、せっかく書いたポストイットや新しいポストイット、紙に描いたプロトタイプなど、そこまでの苦労が(文字通り)全て水に流されてしまいます。どうしても紙コップしか用意できない場合は、テープルに置かずに手に持ったままでいるか、飲み物を置くためだけの専用テーブルを用意するとしましょう。細かいことを気にしすぎかもしれませんが、こぼしてしまった場合のデメリットは計り知れません。
また小麦アレルギー、卵アレルギー、ナッツアレルギーなどの人が居る場合も考えてあらかじめ食物アレルギーの有無を聞いておいたり、様々な種類のオヤツを用意しておくと安心かもしれません。一見ヘルシーに思えるドライフルーツも苦手な人や食物アレルギー対象になっている場合もあるので、注意が必要です。
オンラインで行うリモートデザインスプリントの場合や、お菓子を買う予算が捻出できない場合は、上記の「向いているオヤツ、向かないオヤツ」を伝えた上で、参加者の皆さんにオヤツを持ち寄るようお願いするのも良いかもしれません。
アメリカ西海岸での、あるデザインスプリントに参加した時は、開催者の好みがヘルシーすぎて、もそもそする全粒粉クラッカーやリンゴ丸ごととかがオヤツで、なかなか辛かった思い出があります。食べ物とは思えないような派手な色のグミキャンディーや、味のしないイチゴとか、いろいろ辛いオヤツにも出会いました。
まる1日単位のデザインスプリントであれば、お昼ご飯を食べすぎないように、炭水化物系のランチを取りすぎないよう、軽くすませ、小腹が空いたらオヤツに頼るようにすると脳のパフォーマンスが保てます。
◆Relay 2021 で編み出された 11の新手法(続き)
Design Sprint Newsletter #005 で紹介した手法に続き、Relay 2021のサイト (https://designsprintkit.withgoogle.com/relay2021/) より抄訳で残りの手法を紹介します。
●データによるデザインスプリントの改善 (Improving Design Sprints with Data)
革新をもたらすために、もととなるデータをどう解明していくのか?
昨今、データがすべてを支配していることは周知の事実です。将来的には、製品やサービスといったプロダクトはさらにデータに左右されていくでしょう。では、複雑なコンテクストが存在する状況で、人間の発想力だけで成り立っているデザインスプリントの手順を維持するにはどうすればよいのでしょうか。デザインスプリントの進行役と参加者の両方がデータを理解し、デザインスプリントの中でデータから得られる洞察や新しいデータ素材にアクセスできる方法を探りました。これによって、データの可能性を引き出し、今後変化していくニーズに対応できるようになることを期待しています。ポイントとしては次のとおり。
デザインスプリントの前に、どのデータに着目し準備しておくか?
データをどのような見せ方で、参加者が扱えるようにしておくか?
デザインスプリント中で出てきたデータをどのように扱うか?
そしてそのためには、データを正しく解釈することと、データを単なる数字として扱うだけではなく実感を持ってとらえること、扱う情報に優先順位をつけることだと述べられています。得られたデータを客観的に扱うだけでなく、デザインスプリントの参加者たちなら何を選ぶのかといった主観的にとらえる方法も紹介されています。
事前に情報を集める手段として Google Trends, Google Surveys, eMarketer, Answer The Public, McKinsey の調査レポート, Global Web Index が公開しているレポート、政府が公開しているレポートなどが紹介されています。
●インクルーシブデザインのための前提条件の見直し (Reframing Assumptions for Inclusive Design)
どうすれば共に解決する手順を再構築し、デザインスプリント参加者が同じ人間として、生きた経験に価値を見出すことができるか?
プロダクトの包括性や公平性の問題を解決するために集まったとき、「誰のために」解決しようとしているのかに集中してしまい、そこに到達するための最善の方法は「一緒に」解決することだということを忘れがちです。「一緒に」というのは、文字通り、対象となる「誰」が部屋にいて、一緒にデザインをするということです。そのために新しい視点を持ってデザインスプリントのプロセスを再構築するにはどうしたらよいか検討しました。その新しい視点とは、単に「デザイナー」や「エンジニア」というだけではありません。多様性を持ち、複数の要素を持った仲間と、生きた経験を大切にする視点です。
デザインスプリントにおけるインクルーシブデザインの浸透度を測るためのチェックシートの用意(参加者の妥当性や、開催場所の快適度、利用ツールがすべての参加者にとって使いやすいかなどをチェック)
Google I/O Accessibility Playcards の紹介。例えば、とても良いアイデアやサービスだったとしても、それが運転中にうまく使えるのか?メガネを忘れた時にも使えるものなのか?騒々しい場所でも使えるのか?暗い場所や極端に明るい場所でも使えるのか?料理をしながら使えるのか?想定していた言語とか異なる言語でも使えるのか?といった、さまざまな観点をもたらす要素が記載されたカードです。< https://leecy.li/05-a11ycards/ >
◆デザインスプリント、その後どうするの?
デザインスプリント、実施前はゴタゴタしていても、たいてい最後はとても達成感を感じ、満足して終了します。けれども実はその後がとても大切です。研修やデザインスプリントそのものを知るためのデザインスプリントであればまだしも、デザインスプリントで得られたアイデアを実際のアプリやサービス、プロダクトにしてこそデザインスプリントの真価が発揮できます。デザインスプリント終了後は、次のような作業を進めます。
デザインスプリントの成果をどうまとめるのかは、プロジェクトの位置付け次第です。何か資料にまとめずに皆の想いや考えが明確になっている場合もあれば、きっちりとした資料化しておかないとせっかくのアイデアやプロトタイプが忘れ去れてしまう場合もあります。
参加者や関係者へお礼と今回の成果のアピールを忘れずに。「今回のデザインスプリントでは、???枚のポストイットを使いました!」と伝えるのもインパクトがあって良い方法です。その際は使った枚数を数えるのではなく、最初に用意したポストイットがどれだけ残っているかで、だいたいの使用数が把握できます
アイデアを記入したポストイットを保存しておきたくなりますが、写真できちんと記録しておけば、大抵の場合わざわざ見返すことはありません。占有のプロジェクトルームなどがあれば、壁に飾っておいて、いつでもその時の想いや、皆で合意形成したことを思い出すのも良いかもしれません
デザインスプリントの中で必要な人に成果が伝えられておらず、承認が得られていないのであれば危険です。デザインスプリントの熱量が冷めないうちに、すぐに説得や承認が得られるよう取り計らいましょう
ひと段落したらイテレーションスプリントと呼ばれる短めのデザインスプリントを再度行い、見直し、さらに詳細度の高いプロトタイプの作成、検証を繰り返します。イテレーションスプリントでは、元のデザインスプリントの全メンバーが揃わなくともかまいません
HANDOVERと呼ばれる、引き渡し作業に入ります。成果物をまとめて必要な担当者に提出します。時間のない幹部向けに、エグゼクティブサマリーと呼ばれる、今回のデザインスプリントの成果を短時間で確認できる資料を用意すると、次に繋がるきっかけになることが多いです
検証結果、プロトタイプのユーザーテストから解ったインサイト(気づき)をまとめます。デザインスプリントの中で十分な検証ができていない場合は、今後の検証作業のヒントとなります
詳細度の高い、実際に動作するアプリやWeb、サービスなどが用意できると喜ばれるでしょう。コストや時間とのバランスなので必須の作業ではありません
Adobe XDやSketch, Figma等のプロトタイプ作成に利用したデザインファイルも可能であれば提出すると参考にしてもらいやすく、余計な説明が不要になります
これらはデザインスプリント終了後、戸惑うことなく実際の開発に進めるための配慮であり、デザインスプリントのファリシテーターとしてどこまで関わるかは時と場合によります。安心して次に進めるまで責任を持つことが重要です。プロトタイプはどんなに完成度が高く、滑らかに動いたとしても、所詮試作品です。ある程度の詳細度になったら、細々したところを気にしすぎるよりも、実際に開発を始めてしまった方が良い場合もあるでしょう。
◆イベント紹介 UX+ Conference 2021
デザインスプリントの産みの親のひとり、Jake Knapp 氏がフィリピン時間で9月10日から12日の3日間、オンラインで開催される UX+ Conference 2021 に登壇します。公開されているスケジュールからはまだ講演内容は読み取れませんが、たぶんデザインスプリントの一般的な話、いくつかの成功事例の紹介ではないかと思われます。多くの内容は書籍から知ることができるかもしれませんが Jake本人の口から熱量のある話を聞くのは、何かしら気づきにつながると考えています。Jakeの講演者紹介を読むと「現在世界でもっとも背が高いデザイナー」と書かれていますね。ホントかな。
UX+ Conference 2021(チケット購入、セッションスケジュールなど)
現在、早期登録割引中で 49ドル(約5,600円)、もうすぐ早期割引は終了で、その後は 59ドルとなります。会期中にもチケット購入できますが 69ドルになります。Jake の他にも、デザインに力を入れている音楽ストリーミングサービス Spotify や、Amazon, Adobe, Facebook, Netflix, LinkedIn からの講演も予定されています。
◆次回は、Relay 2021から今回紹介しきれなかった手法の紹介。まずは短時間でデザインスプリントしてみて有益さを実感する方法。指標HEARTを紹介する予定です。
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