最高の組み合わせ!MiroとZoomが連携できるようになりました。Zoom Apps(Zoom連携アプリ)が使えるようになり、Zoomの画面の中でサードパーティ製のアプリが動くようになりました。
via. https://miro.com/blog/miro-app-for-zoom/
Zoom App Marketplace < https://marketplace.zoom.us/apps?category=zoom-apps > に連携可能なアプリ一覧があります。Zoomの中でドキュメントを扱い、署名をもらえる PandaDoc、Zoom中の意思表明や投票に使える Dot Collector、Zoom中にクイズを出して回答してもらう Kahoot! や、ミーティング中のパフォーマンスや効率を測る Meeting Metrics など、いままでバラバラの画面で使っていたツールが、Zoomと連携し、Zoomの画面共有のように表示されつつ、操作もできるといった便利な環境が整いました。
リモートデザインスプリントのコツとして、複数のツールを頻繁に切り替えなくてすむよう、ツールの数をできるだけ減らし、画面上でツール同士が隠れることなく、常に見えている状態にレイアウトを工夫することが求められています。これは画面の裏に隠れてしまい、通知やリアクションに気づかないことを避けるためです。例えば、チャットツールがいろいろありますが、Zoomを使うのであれば、別のチャットツールを使わずに、Zoomのチャット機能を使い、ツールの数を減らすということです。
Zoom Apps の中でも、最大の恩恵を受けるのは、リモートデザインスプリントのオンラインホワイトボードとしてよく使われている Miro です。Zoom にもホワイトボード機能がありますが、機能的に不十分でデザインスプリントでは使えないことがほとんどです。一方 Miro はリモートデザインスプリントに必要な機能が一通りそろっていますが、従来 Zoom とは別アプリだったため、複数画面での取り扱いが不便でした。
連携の手順は、[ Add the Miro app for Zoom ] < https://miro.com/works-with-zoom/ > のページにアクセスし、Miro から Zoom のWebポータルにログインします。そうすると、Miro と Zoom が別ウィンドウ画面ではなく、画面共有でもなく、操作できる Miro が Zoomの画面に現れます。今まで Zoom で Miro の画面共有をしていて、知らずに Zoom の画面の方を操作してしまい「あれ?Miro が動かない?」と勘違いしたことはないでしょうか?そういったドジが解消されるのです。注意点としては、Zoomのオーナー、Miroのオーナーが設定すれば良いわけではなく、各参加者一人一人が、この連携設定をする必要があるところです。またこの連携は Zoom も Miro も無料アカウントでも利用可能です。
◆デザインスプリント特化型イベント Relay 2021 で生み出されたものとは?
新型コロナウイルスの影響で、今までなんの違和感もなく対面で実施していたデザインスプリントが、否が応にもリモートで実施する状況が続いています。リモート、つまりはオンラインで実施するデザインスプリントは、対面とは違ったコツが必要で、なれるまではいろいろと苦労します。リモートでの実施は対面よりも時間がかかり、綿密な準備が必要となるデメリットがあります。一方、距離的に離れた人同士でも手軽に参加できたり、すべてのアウトプットがデジタル空間上に記録されるというメリットもあります。そういった利点、欠点にうまく対処しながら手探り状態で世界中の皆がリモートデザインスプリントで乗り越えてきたのが2020〜2021年の状況です。
動画:Relay 2021: Design Leaders Gather to Explore the Future of Sprints(デザインリーダーたちが集い、スプリントの未来を探る)
主催者コメント(Relay 2021サイトからの抄訳):
10年間デザインスプリントを続けてきて、多くのことを学びました。しかし、2020年の春にパンデミックが発生したとき、私たちはデザインスプリントのすべてを見直さなければならないと考えました。時間が無いなかで、ひと部屋に人が集まることで成り立つ方法論を、リモート(オンライン)でできるものに変えなければならなかったのです。
そして1年という長い時間をかけて、デザインスプリントの形は大きく変わりました。デザインスプリントの細かな部分を見直さなければならなかっただけでなく、大きな疑問を投げかけることにもなりました。そもそもデザインスプリントとは何か?デザインスプリントの見直しは、飛んでいる飛行機を修理しながら操縦しているようなものでした。デザインスプリントの先駆者たちは、優しさと創意工夫をもって、リモートでの状況に適応するために方向転換していきました。
デザインスプリントの手法はこれまでも進化してきましたが、2020年の課題はその進化をさらに加速させるものでした。そのため、次の10年のデザインスプリントが、今後変化する私たちの仕事の世界にどのように適応していくのかをコミュニティで探求することが、これまで以上に重要になりました。
そこで、Google が開催した Relay 2021 では、スプリントコミュニティから100人以上の専門家を招き(もちろんリモートで)デザインスプリントを成熟させるためのツールや考え方、シナリオを作成しました。その際、柔軟性や包括性、そして人間中心デザインであることに配慮しました。その中での議論は、デザインスプリントの本来の意図と、デザインスプリントを現在の成功に導いた方法論に忠実であることを確信しています。
Relayの参加者たちは、次のような疑問に答えようとしました。「同期、非同期を問わず、さまざまな環境でコラボレーションするにはどうすればよいか?」「プロセスの中で、全員が集まる必要のある特定の部分は?」「どうすれば用語の共通理解を効果的に構築できるのか?」
ワークプレイスが進化する中で、バーチャル空間や一般的な生活において余計なノイズが多い中で、コラボレーションを活性化し、生産性を維持するにはどうすればよいのでしょうか? Relay 2021 は、コラボレーションとデザインスプリントの未来に向けて、「思考の出発点」となるようなアイデアや戦術を生み出すことを目的としたイベントでした。
Relay 2021のサイト (https://designsprintkit.withgoogle.com/relay2021/) では、11のトピックと、どこでも使えるコラボレーションのためのツールを紹介しています。サイトの記載されている手法(抄訳)に解説を加えて紹介します。
◆Relay 2021 で編み出された 11の新手法(前半)
●抗脆弱性の構築 (Building for Antifragility)
予測不可能な未来に適応するためにはどうすればよいのか?
世の中では「ブラックスワン」と呼ばれる破壊的な出来事がますます頻繁に起こるようになっています。予測不可能な未来の課題に対応するために、大きな変化に耐えうるプロセスや製品を構築する方法を模索したのがこの手法です。
しかし、このような大きな出来事を乗り越えるだけでなく、適応性をデザインし、身体の免疫システムが機能するのと同じく、将来的に私たちをより強くするために「学習」するプロセスが大切です。抗脆弱性な製品やシステムを構築することで、ビジネスにおいても文化においても、より持続可能な世界を作ることができるでしょう。
「抗脆弱性の構築」手法では、文化、学習、手順、意思決定、方法、役割、データと基準、将来への展望といった切り口で、抗脆弱性を見つけ出し、それらに対処するデザインを考えるための「Antifragile Design Canvas」を公開しています。
●やる気診断 (Energy Diagnostic)
リモートでコラボレーションするとき、何がやる気を生み出し、維持しているのでしょうか?
ビデオ通話ばかりの1日を過ごしたことのある人なら、1日の最後に疲れ果ててしまったという感覚をよく知っているはずです。リモートデザインスプリントやリモートワークショップで疲労を見つけ出す方法を検討し、リーダーがグループのやる気を変えるために役立つツールが用意されています。
またデザインスプリントは毎回同じことの繰り返しではないので、事前の計画に加えて、その場ですぐに調整し導入できる方法もあります。また、これらのちょっとしたエクササイズは、いつでも必要なときに発表資料に加えることができるでしょう。ここで紹介されているエクササイズは次のとおり:
クリエイティブ散歩:コンピュータから離れて、5分から20分、グループで電話しながら散歩する
レシピ共有:最近試した新しい料理のレシピを紹介し、共有する
ストレッチ共有:お気に入りのストレッチを紹介し、皆で真似る
チーム紹介:テンプレートに沿って自己紹介資料を各自が作り、全員が発表する
体験ビンゴ:数字ではなく「〜をしたことがある」が複数書かれたビンゴゲーム
人狼ゲーム:オンラインで楽しめる Among Us を使った嘘つきを見つけるゲーム
嘘2つ本当1つ:嘘を書いた資料2つと真実を書いた資料を用意し真実を当てる
●インクルーシブデザインの実用化 (Operationalizing Inclusive Design)
どのようにしてデザインスプリントにインクルーシブデザイン(だれも除外しない包括性の理念)を吹き込むことができるでしょうか?
GoogleのインクルーシブデザインチームのリーダーであるElise Roy氏は、大好評のTEDトークで「障害者のためのデザインは全ての人の役に立つ」<https://www.ted.com/talks/elise_roy_when_we_design_for_disability_we_all_benefit?language=ja> と述べました。その洞察を受け、この手法の検討ではデザインスプリントにインクルーシブデザインの倫理を吹き込む方法を探しました。
だれもが意図しない認識バイアスを持っており、その思い込みがすべての人にとって使いやすい有益な製品を作る妨げになっています。Authentic Design社のInclusive Design Process Mapを参考にして、デザインスプリントの各ステップを進化させ、より幅広い視点や優先すべき事項を取り入れることで、インクルーシブデザインが特別なことではなく、ごく普通の標準となるように考えました。
Inclusive Design for Sprint Phases (MURAL) https://app.mural.co/t/relay20212218/m/relay20212218/1618428198925/8c058862237133e32b1024f8daf966b5d48260c0?sender=b7b55c8e-e37a-4823-93da-99791f9ea099
●レシピと改善策で手法を広げる (Expanding Methods Through Recipes & Remedies)
デザインスプリントで試行錯誤しても良い結果を得られない場合どうすれば?
デザインスプリントを通常のプロダクト開発に取り入れると、マンネリ化したり、手法の限界にぶつかったりしがちです。デザインスプリント方法論の効果が感じられ「台本」に忠実に実行するだけで良い結果が得られやすいうちはデザインスプリントの有効性に納得できます。しかし、すべての参加者の時間と貢献を最大限に活用するためには、常に新鮮で楽しく、刺激的な方法で人々が協力する機会を作る必要があります。
ゲームストーミング <https://gamestorming.com/> 、Luna社の手法、コミュニケーションの質を高めるリベレイティングストラクチャーなど、さまざまな手法を活用して、創造性を引き出し、コラボレーションを加速させる方法を考えました。
参考:ゲームストーミング ―会議、チーム、プロジェクトを成功へと導く87のゲーム Amazon リンク [ https://amzn.to/3yj2e2k ]
◆ワークショップ専用便利ツール
Butter : https://meetbutter.io/
Butter はワークショップ専用のコラボレーションツールです。ビデオ会議、ブレイクアウトルームに分かれる機能、付箋(miro連携)、自由に描けるホワイトボード、時間制限タイマー、投票機能など、必要充分な機能が揃っています。若干動作が不安定な気がしますが、複数のツールを切り替えて進行するのに比べると、とてもスムーズに集中して作業を進めることができます。
SessionLab : https://www.sessionlab.com/
デザインスプリントでの細かいタイムテーブル、スケジュールのやりくりができるツールです。デザインスプリントの事前準備では5分単位、10分単位で進行を計画しておきますが、実際は長引いたり、時間が足りなくなったり、その場で時間調整の必要がでてきます。そのような際にも便利な時間調整、作業順の調整に特化したWebブラウザ上で動作するスケジューリングツールです。
ExcelやNumbers, Googleスプレッドシートなどの表計算ソフトで、進行表、タイムテーブルを作るのに比べ、自由度と素早さは段違いです。メニュー等は日本語化されていませんが、入力は日本語でも可能です。
◆次回は Relay 2021 手法の続きとデザインスプリント用オヤツ紹介の予定です。
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