◆大阪デザインスプリント実施レポート(2編)
5/10に大阪で実施したデザインスプリントをレポートしてくださりました。ご参加いただいた皆さん、レポートいただいた方々、運営の皆様どうもありがとうございます!
短期間でアイデア創出とプロトタイピング「デザインスプリント」体験【GDGoC】 イベントレポート
https://zenn.dev/gdgoc_osaka/articles/edc7169a6c9565
デザインスプリント体験記
https://taipy.hatenablog.com/entry/2025/05/11/084144
写真は打ち上げで行った居酒屋の注文用タブレット端末。こういうの皆気になってしまうのね〜「ここは押さないでください」って!?!?
◆Miroのフォーカスモードを活用
ホワイトボード型の自由なコラボレーションツールMiroが新たな進化を遂げています。その機能は「フォーマット」。構造化された体験を通じて、創造性と効率性の両立を実現する革新的な仕組みです。
この「フォーマット」、一見するとこれまでの自由なボードとは対極にあるように感じるかもしれません。ですが、むしろその逆。ボード上に配置できる「オブジェクト」としてのフォーマットは、非構造的な空間に「軸」を与える存在なのです。
たとえば、会議の議事録をスライド形式でまとめたり、アイデアの一覧をテーブルで整理したりする際、それぞれに最適化された「フォーカスモード」が用意されています。このモードに切り替えることで、画面がそのフォーマット専用のツールに変わり、余計な要素を排除した状態で集中作業が可能になります。
さらにワークショップ等で便利なのが「デフォルトビュー」の設定です。プロジェクトボードを共有したとき、参加者が最初に目にするビューをフォーマットにできるため、「この場所が今注目すべきところです」と明確に伝えることができます。
もう一つ、Miroの真価を発揮する機能が「同期コピー」です。あるボードで作成した図やテーブルを、別のボードのプレゼン資料として埋め込んだ場合、元のフォーマットを修正すれば、埋め込み先にも自動で反映されます。更新のたびに手作業で差し替える手間は、もう不要です。
Miroの新しいフォーマット機能で、散らかりがちなアイデアも、見せたい形に整えつつ、リアルタイムで変化に追従できるのです。
◆OK, ついにAIが。私の計画はこうだ。
ドイツのデザインスプリント専業デザインエージェンシーAJ&SmartのCEOジョナサン・コートニー氏のポッドキャストより。
サンフランシスコで過ごした一週間の体験があまりにも衝撃的だったため、ここに記録しておく必要があると感じました。
Figmaの「Config」やStripeのイベント、さらにはBolt.newによる世界最大規模のAIハッカソンなど、サンフランシスコではテック関連の出来事が集中していました。私はさまざまなカンファレンスに足を運び、起業家仲間のGreg Eisenbergと語り合い、AIの進化を肌で感じたのです。
この数週間、特に直近の6〜8週間で、AIツールは単なる「面白い技術」から「絶対に取り入れるべき武器」へと変貌しました。ECサイト構築サービスShopifyのCEOは、「これからはAIツールを日常的に使いこなせる人しか採用しない」と明言。英語学習アプリDuolingoに至っては、社員がAIを活用すれば十分で、もはや外部の契約者と仕事をしないという発表まで行いました。クラウドソーシングのFiverrも同様で、スキルが並みの人はAIに代替される未来が見えています。
私は今、AIツールを駆使することで、「1人=数人分の仕事」が可能になっています。ChatGPT Pro、Claude、NotebookLM、Superhuman…もはや自分はアシスタント数名を抱えたようなもの。私の会社「AJ&Smart」も、社員14人で50人分の生産性を発揮できる可能性があります。
しかし逆に、AIを使いこなせなければ、その差は致命的です。サンフランシスコのあるチームが1日でこなす仕事を、私たちは6週間かけてやっている….. そんな時代なのです。
そして忘れてはいけないのが、このAIツールたちは今、大幅に安く提供されているという現実。ChatGPT ProやClaudeが月額数百ドルで使えるのは今だけ。数年後には、1アカウント月5,000ドル、10,000ドルになってもおかしくありません。だからこそ、「今」使いこなすスキルを身につけておくべきなのです。
もちろん、AIにすべてが代替されるわけではありません。私たちはあえて「対面のファシリテーション」に力を入れてきました。人と人が空間を共有しながら共に創造する場… これはAIが簡単に真似できるものではありません。特にポストコロナの今、対面の価値は再評価されていると感じます。
この8月にベルリンで開催する「Summer Camp」では、AIツールを活用したワークフローの特別セッションも設けます。私の実践例を共有しつつ、他の参加者の工夫も吸収し合う… そんな「知識の交換所」にしたいと思っています。
最後にひとつ。
「AIは今だけの流行ではない。必修科目だ」。
NetflixやDisney+のサブスクリプションをやめてでも、ChatGPTのProアカウントに課金してください。今の習慣が、未来の自分を救うのです。
◆ファンデーションスプリントDay2には?
デザインスプリントをスムーズに実施するために、その前工程として行うファンデーションスプリント、その2日目はどうするのか。デザインスプリントアカデミーの解説動画です。
「最初に浮かんだアイデアが、最高とは限らない。」
私たちが新しいサービスやプロジェクトを立ち上げるとき、最初のアイデアに強く惹かれ、それに全力を注ぎたくなるものです。しかし、その「思いつき」は、果たしてベストな選択肢でしょうか?それとも、他にもっと可能性のある道を見逃しているだけかもしれません。
Foundation SprintのDay 2では、この「最初の思いつき」という呪縛から自分たちを解き放ち、他の可能性に目を向ける日です。ここで登場するキーワードが「Pre-pivot(事前ピボット)」という考え方。将来プロジェクトが壁にぶつかったときのために、あらかじめ複数のルートを持っておく戦略です。
なぜ「Pre-pivot」が必要なのか?
リスク分散:第一案が失敗しても、すでに代替案が用意されていれば、振り出しに戻る必要がありません。
学びのスピードが上がる:「失敗→学び→次へ」のサイクルが加速します。
新たな着想の源泉に:バックアップ案が結果的に、主力機能や新しいユーザー層への入口になることも。
発想法:「もしも」の問いかけから始めよう
もしこの案が完全に失敗したら?
もしライバルがより安価・高速に解決してきたら?
もし技術的制約がすべて取り除かれたら?
もし全く違う顧客層に向けるとしたら?
こうした問いを、チーム全員に5分ずつ与えて静かに個人ワークで考えさせる。次に、思いついた代替案を共通フォーマット(One-page Summary)でまとめていきます。
One-page Summaryの効能
比較しやすい:全案が同じフォーマットなので、評価・投票がスムーズ
明確になる:1ページで「何を・なぜ・どうやって」伝えられる
議論の土台になる:あとで議論する際にも迷いが少ない
たとえば、あるチームでは「AIコンプライアンス・コパイロット」「コミュニティ型知見掲示板」「モバイル通知アプリ」などの案が出されました。それぞれが異なるユーザー層や利用文脈にフォーカスしており、どれも有力な仮説です。
次にすること:投票と選抜
チームメンバー全員にドット投票用のシールを渡し、気に入った案に投票してもらいます。人気上位案は「ショートリスト」に入り、それぞれをOne-page Summaryで整理。さらにその後、各案に含まれる「特に良い点」も全員でピックアップ。
たとえば、
「ニュースの早期検出で驚きの少ないコンプライアンス運営ができる」
「コミュニティの知見で属人化せずナレッジが共有される」
といった具合です。
アイデアを絞る前に、広げよ
この一連のプロセスを通じてチームが得るのは、「この案じゃないとダメだ」という思い込みからの脱却です。選択肢が増えることで、自信をもって意思決定ができるようになります。
最初のアイデアに全てを賭けるのではなく、複数の仮説を持ち、それぞれをテスト可能な形にする。それがDay 2で目指すこと。そして、次のステップ「Magic Lenses」へと進む準備が整うのです。
大阪で40名弱を集めて実施したデザインスプリントは、Google AI Studio を使ってプロトタイプを作ったり、AIのペルソナを設定してキャラ設定した回答ができるように工夫したり、参加された皆さんのアイデアも広がって、楽しかったです!
大阪でとても美味しかったのは、ミシュランのビブグルマンを取ったことのある「大阪イギー」のたこ焼きが異次元の美味しさでした。ネットに再現レシピがあるけど、簡単には再現できなさそう!
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