【デザインスプリント】Design Sprint Newsletter #144
嘘つきの名人でないならば、真実を語るのがつねに最良策 / If you are not a master liar, it is always best to tell the truth.
◆エープリルフール版:逆デザインスプリント(嘘記事です)
4月1日、エープリルフール用のちょっと気の利いた嘘を考えてみました。それがなにかというと、現実にはありえない「逆デザインスプリント」です。はたしてデザインスプリントの工程を逆に実施してみるとどうなるでしょう?
逆MVP(実用最小限の製品):既存のプロダクトやアプリ、サービスから、どんどん無駄や余計な機能をそぎ落としていって、必要最小限な機能だけ残すとしたら何を残すでしょうか?この逆作業で真のMVPが見えてきます。
逆ユーザーテスト:ユーザー自身がプロダクトのテスト計画を立て、勝手にテストを実施して、開発者にフィードバックするという逆向き、逆工程のテストと、提言の手法です。使いづらくても我慢しながら使っているシステムが多いなか、この手法はなかなか有効が気がします。
逆プロトタイピング:既存の完成しているプロダクトやアプリを見て、そこから詳細度の低いプロトタイプ、ペーパープロトタイプなどを作成することで、IA (情報設計)の課題を見出します。また既存の良いアプリを真似ることでも得られる知見は多いでしょう。
嘘っぽく書こうと考えていましたが、なんだかそこそこ有益な手法に見えてきましたよ!なぜだ?
◆Miro 新機能:ついにカスタムフォントの追加が可能に!
Set default fonts in Brand Center
https://help.miro.com/hc/en-us/articles/13061918433426-Brand-center (英語)
https://help.miro.com/hc/ja/articles/13061918433426-%E3%83%96%E3%83%A9%E3%83%B3%E3%83%89%E3%82%BB%E3%83%B3%E3%82%BF%E3%83%BC#01HGB712YHB0J4G0KFB4THJYQW (日本語)
Miroボード全体のブランディングが強化されました。ブランドセンターからカスタムフォントをアップロードすることができ、ブランドのオリジナルフォントや、ブランドで規定されているカスタムフォントを設定できるようになりました。
Expanded Miro links in Microsoft Teams (Microsoft TeamsのMiroリンクの拡張)
https://miro.com/marketplace/microsoft-teams/
MiroとMicrosoft Teams が統合され、リンクプレビューをサポートした。ボード名、タイトル、オーナーなどが Teams 上で確認できるようになりました。
Miroグッズ応募のチャンス!
Share What's New 2024 Webinar Feedback & Win Miro Swag
https://community.miro.com/events-44/share-what-s-new-2024-webinar-feedback-win-miro-swag-15897
◆10分間でファシリテーターになる(ファシリテーション・テクニック)
Become A Better FACILITATOR In 10 Minutes (Facilitation Technique)
10分間でファシリテーターになる(ファシリテーション・テクニック)
おなじみ AJ&Smart によるファシリテーションテクニックの紹介ビデオです。
「知識の呪い」に注意せよ。この呪いはとても強力で、それを破ることはほぼ不可能です。この知識の呪いは、ワークショップの主催者にとって致命的です。ファシリテーターにとって致命的であり、ファシリテーター、ワークショップの主催者が犯す最も一般的な間違いの一つです。
この「知識の呪い」とは何かというと、自分が知識を持っているから、よく知っていて経験しているために、何も知らない初心者の気持ちを忘れてしまいがちなことを注意喚起しています。
例えば「アイスブレイク」とか「HMW」とか、はたまたメモ以外の用途にポストイットを使ったことがない人にとって、デザインスプリントのさまざまな作業はわからないことだらけ、わからない言葉だらけなのです。
そしてデザインスプリント参加者にとって、なぜ目の前の作業をしなければいけないのか、それがどんな結果や成果をもたらすのか、わからないままどんどん先に進んでいくわけです。こういった未知の要素を楽しみながらこなしていける人もいますが、大抵の人はいろいろ考えてしまい、立ち止まってしまうことが多いでしょう。
なぜこの作業を行っているのか、その作業が全体のどの部分にあたるのか、その作業の結果を次にどう活かしてどう使うのか?そういった不安要素を払拭するために参加者に情報を伝える必要があります。
一方、事細かに伝えすぎてしまうことにより、アイデアが小さく縮こまってしまうこともあります。このビデオでも紹介されている書籍「アイデアのちから(ダン・ハース、チップ・ハース著)」では次の6つの要素が人を行動に駆り立てると紹介されています。頭文字をとってSUCCESs(サクセス)の法則と呼ばれています。
●単純明快である(Simple)
●意外性がある(Unexpected)
●具体的である(Concrete)
●信頼性がある(Credible)
●感情に訴える(Emotional)
●物語性(Story)
◆リーンスタートアップと、デザインスプリントの違い
リーンスタートアップのアプローチの基本的な考え方は、アイデアをできるだけ早く最小限のバージョンで構築することです。MVPと呼ばれる最小限の実行可能な製品として、できるだけ早く実際の顧客に市場でローンチし、データを収集し、そこから学んで改善を続けるといったことを繰り返します。これはある種証明された成功へのアプローチであり、成功しそうにないアイデアにあまり多くのコストをかけないようにするための考え方です。
しかしMVPでさえも瞬時にリリースすることはできず、数週間から場合によっては数ヶ月かかります。また現実の市場は思ったよりも複雑です。MVPと言えども潜在的な課題をかかえ、対応しきれないクレームが集まったり、ブランドを既存してしまう可能性もあります。
そこで、アイデアが正しい方向にあるかどうかを知るために、極限まで本質的な活動と要素にまで縮小する方法が考えられます。膨大な時間、人的リソース、資金を投入する前に結果を素早く検証することができるのが、デザインスプリントです。
では、いつデザインスプリントを実行するかというと、プロジェクトの開始時、またはプロジェクトが崖っぷちにいる状態の時がいちばん向いているとのこと。
◆バリュープロポジションのサイクル
Design Sprint Academy が提唱するバリュープロポジションの役目とその立ち位置を解説したループ状の図が、とても良い感じでバリュープロポジションを取り巻く概念を解説しています。
Goal/Need(目標/ニーズ): これは、具体的なビジネス上の要求であったり、より広範な北極星のような目標であったり、あるいは単なる機会の直感のこともあり
●Product Hypothesis 製品仮説: 問題、ビジネス背景、過去の洞察を理解した上で解決策を策定し、どのような製品になり得るかを概説する
●Idea Target Segment 理想的なターゲットセグメント: もし提案が万人向けだとしたらそれはそれで変な状況です。顧客が誰なのかわからなければ失敗します
●Problem 問題発見: 製品が失敗する一番の理由は、十分に価値のある問題を解決していないからです。目標や顧客ニーズに基づいて、製品が解決する「問題」を定義し決定するします。デザインスプリントでは、プロブレムフレーミングという特定の方法を用いて問題の発見を行います
●Value Proposition and Prototype&Test 価値提案の作成と顧客との検証:これらは実際には2つのステップですが、デザインスプリントを活用することで、1つにまとめられます。わずか1週間でチーム(デザイナー、エンジニア、マーケティング担当者など)がプロトタイプを作成し、ユーザーでテストします。必要に応じて繰り返します
●Analyze 結果を分析する: ユーザーが気に入れば、必要とされることが早期に検証され、ソリューションの他の部分への取り組むことができます。そうでない場合は、中止するか、バリュープロポジションに戻ります
●Business Case 事業計画または製品ロードマップの作成: 検証を経て、開発のためのリソースを確保するための事業計画を作成する
戻って反復する: 検証の不足は再評価につながる。仮説は間違っていたのか、ターゲットセグメントは間違っていたのか、あるいはその両方だったのか。繰り返します
◆JOMO(Joy of Missing Out)取り残されることの喜び
ファシリテーションに関するSubstackのメールマガジン、Facili-station の記事を紹介します。SNSで取り残される不安など、FOMO(Fear of Missing Out) という見逃したり取り残されたりすることへの不安を示す言葉があります。これに対する JOMO (Joy of Missing Out)という情報から取り残されること、情報から離れることを喜びとする考えも生まれてきましした。
ここでは、ファシリテーター(ワークショップなどの進行役)が、ワークショップで各チームが議論している内容を知りすぎないことの大切さを提唱しています。
すべてが情報:わざわざ情報を得るために話を聞かずとも、その場で起きている議論の雰囲気だけでも様子がわかってしまう
招待したり、強制したりしない:全体で情報共有することを強要しない。物事を共有しても、全員が同じ見解になるわけではないのです
メタファシリテーション: なぜ全員に共有しないのか、その理由を説明します。意図的にそうしていることを伝えれば、参加者に安心感を与えます
休憩を受け入れる:各チームの皆が議論している時に参加せず、ファシリテーターはその時間休憩をとる。議論中に休憩をとることで一定の距離を置くことができる
知る必要がある vs. 知りたい:その情報が必要なのか、なぜ必要なのか、それとも単なる好奇心から知りたいと思ったのかよく考えてみる。ファシリテーターとして、すべての情報を知る必要はありません
さて、新学期、新年度、いろいろと新しいことが始まる時期になりました!組織も上司も変わって、波乱万丈の毎日がやってきそうです!
デザインスプリントの体験、相談、ファシリテーション(進行)、ファシリテーターの育成、研修、学生向け職業体験、プロダクト開発の初期またはプロダクトやサービスが危機的な状態でのデザインスプリントなど、さまざまな要望にお答えしますよ!
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