【デザインスプリント】Design Sprint Newsletter #123
火星で死にたい。衝突ではなくて / I'd like to die on Mars, just not on impact.
◆「デザイン思考」の終焉?それとも一般へ浸透したから?
Design giant Ideo cuts a third of staff and closes offices as the era of design thinking ends
https://www.fastcompany.com/90976682/design-giant-ideo-cuts-a-third-of-staff-and-closes-offices-as-the-era-of-design-thinking-ends
Design Thinking Pioneer IDEO Lays Off 25% Employees
https://justlayoffs.com/ideo-layoffs/
Fast CompanyやJust Layoffs.の記事によると「デザイン思考」の中心的存在であったデザインエージェンシーIDEOが従業員の25%に相当する125人をレイオフすることがニュースになりました。黒字だった東京オフィスの閉鎖など、ここ最近IDEOの収益が3億ドルから、1億ドル、1/3に激減しているとのことでIDEOに限らず様々なコンサルティング企業やデザインエージェンシーの「デザイン思考」をとりまく状況が大きく変化しています。
こうなった理由としては….
●デザイン思考の手法も広く知られるようになり一般化したため、わざわざ高額な報酬を支払ってIDEOにお願いしなくてもよくなった
●IDEOは、戦略やアイデア、スケッチをクライアント企業に提供するが、そのぼんやりとしたアイデアスケッチから実際の製品やサービスを開発するのはクライアントに任されている。IDEOはプロダクトの完成責任を持たない
●IDEOのトップ層の存在感が失われつつある。今までは元CEOのティム・ブラウンが大口顧客を引っ張ってきていた。現在のCEOは業界に知られている?
●価格が高すぎるため、顧客を失いつつある。マッキンゼーと同程度で、業界最高値
●従来の顧客であったグーグル、メタ、アマゾンはIDEOにお願いせずに、自社内で同じことを行うようになった。
●ビル&メリンダ・ゲイツ財団という超大口顧客との契約がもうじき終了予定
●大口顧客であったフォードは自社内にデザインラボを設立し、自社で行うように
●最近IDEOはヘルスケアや気候変動ビジネスに力を入れていたが、思ったほど伸びていない
とのこと。これからIDEOが生き残る道として提言されているのは….
●先端テクノロジーと、グローバルサウス(中南米とアフリカ向けビジネス)に注力すべき
●AIを活用する専門知識が不足しているのでその領域を補う必要あり?
●IDEOがハブとなり、プロジェクトごとに世界中の外部パートナー、専門家、元従業員、フリーランサーを集めて、終わったら解散するタイプの雇用に?
●CEOなど企業トップのアドバイザーとして、安定した収益源を探究する
などなど。
IDEO東京オフィスを閉鎖し、IDEOが協力していたD4V(Design for Ventures)に注力とのことですが、今後どうなるのか詳細は不明です。
◆素晴らしいワークショップをデザインする方法
How To Design An Amazing Team Collaboration Workshop
素晴らしいチーム・コラボレーション・ワークショップをデザインする方法
ドイツを拠点に活動するデザインスプリント専業のデザインエージェンシーAJ&Smart の最新動画を紹介します。この動画ではデザインスプリント(ワークショップ)を依頼された際、事前にどのような情報を聞き出す必要があるのかを説明しています。
開催場所、オンライン?、ワークショップの参加経験、参加人数、予算、主要人物、提出物、主な要望などを聞き出すのはもちろんのこと、危険信号となりうる要素を洗い出しておくのも重要な要素です。
この例での危険信号は、
●ある担当者は投資家を納得させることに注力している
●ある担当者はすでに計画を立案済みで他の参加者が何を言おうが気にしていない
●ある参加者とある参加者はよく言い争っており、起動修正する必要がある
●あるメンバーは内向的で、意見を伝えきれていない
といった、どこにでもありそうですけど、やっかいな課題が書かれています。デザインスプリント実施中にこれらの問題に完全に対処できるかどうかは微妙ですが、あらかじめ知っておくのと、実施中に知るのでは大きな違いがあると考えています。
Googleのスタートアップ支援のプログラムで、UX関連、シビックテック関連、位置情報(地図)関連のメンターとして協力しています。有望なスタートアップが名を連ねており、期待しております!
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