【デザインスプリント】Design Sprint Newsletter #086
最短距離で掴める夢などたいしたことない / grasped in the shortest distance is a trivial dream
◆Notion のテンプレート販売で年収1億円のYouTuber
THOMAS FRANK Notion Templatesz
https://thomasjfrank.com/templates/
ドキュメント共有ツール Notion のテンプレート販売で、年間100万ドル(約1.3億円)を売り上げる THOMAS FRANK さんが最近話題になっていて、びっくりしました。
Notionは大変便利なドキュメンテーションのためのツールで、簡単に使い始めやすい割には使いこなすのが難しかったり、細かな機能を理解するのが難しかったりする面があります。それを YouTube動画で解説したり、使いやすくあらかじめ準備されたテンプレートを提供することで、ニーズをがっちり捉えているのだと考えています。
もちろん動画だけでなく、教育コースや、ブログ、SNSでの情報発信、書評など、さまざまな情報発信を精力的に実施している様子がみてとれます。
オンラインホワイトボードツール Miro には Miroverse というテンプレートギャラリーが存在します。Miroのテンプレートで年収1億円!という話はまだ聞きませんが、Notionと同じようなニーズと成功の土壌は MiroやFigmaといった他のツールにもあるのではないかと考えています。
ミュージシャンでもある THOMAS FRANK さんの動画の中でも、とくにおすすめの「生産性を 2 倍にする最も簡単な方法」を紹介しておきましょう。
●仕事を分類して、似たような仕事をまとめて片付ける
●仕事をまとめることで最初の立ち上がりの時間や準備が効率化できる
●まとめることで仕事を切り替えによる集中力の低下を避けられる
●決められた時間に限定して、決められた仕事をこなす(メールのチェックなど)
●気力が必要な面倒な仕事と、淡々とこなせる事務処理で分類する
●朝か、夜か、自分が集中できる時間帯を活用すること
●その仕事に適切な場所を選択すること
●一人で集中する時間と、コミュニケーションが必要なものと仕事を分ける
動画の制作活動そのものも効率化されており、必要な素材をNotionで整理したり、必要な撮影を一気に実施したりと、その2倍速の仕事ぶりが垣間見ることができます。
動画の中で、クリス・ベイリーさんの「世界一の生産性バカが1年間、命がけで試してわかった25のこと」という書籍が推奨されています。
◆3Days デザインスプリントの工夫
デザインスプリントをじっくり実施するには5日間必要、最近の新しいプロセスでも4日間必要、それをもっと短い時間で実施してしまいたい、3日間でデザインスプリントを済ますには? という話をいくつか聞くようになりました。
デザインスプリントの発案者のひとりであるジェイクナップさんによると「慣れるまではセオリーどおりに5日間じっくり取り組む方が良い成果が得られる。でも短い時間でのデザインスプリントのニーズがあることも認識している」とあるインタビューで回答しており、できれば最初のうちは時間的にも余裕をもってデザインスプリントを実施し、その後、時間を早めていったり、工程を短く実施したりといった進め方をしていくことができると考えています。
確かにデザインスプリントが初めての参加者ばかりの時は、1日中、普段の仕事とは異なる頭を使い、集中力を思考をフル回転させながら限られた時間でデザインスプリントの工程を進めていくのはとても大変です。半日のデザインスプリントを5日または10日程度で進行するのも一つの案ですが、デザインスプリントのほかの時間は日常に戻ってしまうのも課題です。だいぶ疲れるけれどもデザインスプリントだけに集中する数日間といのも貴重な時間でもあります。
Relab Studiosの動画では、本来5日間のデザインスプリントを、3日間または4日間で効率よく実施する方法を紹介しています。そこ魔法はなく、本来5日で実施する工程を圧縮して3日に詰め込むだけです。5日で実施するよりも効率よく進める必要があります。Day1,2を初日、Day3,4を2日目、Day4残,5を3日目に。特別なことはありません。どんなに時間が短くても特定の工程を省略せずに少しでも良いから実施することが短時間でのデザインスプリントで良い成果を得るコツだと考えています。ここでのポイントは次のとおり。
●参加者は、何回かデザインスプリント経験しており手順に慣れていること
●経験豊富なファシリテーター(進行役)がいて、皆を導けること
●解こうとしている課題または見つけようとしている課題が複雑すぎないこと
また、Googleが公開している Product Design Sprint (3-Day Structure) の資料、Alvin Hermantoさんの3Days進行手順も参考になります。
https://alvinhermanto.medium.com/how-to-run-4-day-or-3-day-design-sprints-45cb78f47387
◆Jackie Colburn さんオススメのファリリテーションツール
ファシリテーター(進行役)専業の Jackie Colburn さんがおすすめするツールや情報源をまとめて紹介します。翻訳ツールなどを活用し、どれも英語記事ですが平易に読めると思います。
●初めてのワークショップに向けたサバイバルガイド
https://jackiecolburn.medium.com/the-survival-guide-to-your-first-workshop-16c405de94f6
●ワークショップの準備に役立つツール
https://jackiecolburn.medium.com/the-only-tool-you-need-to-prep-for-your-next-workshop-fd38df5de9c6
●よりよいファシリテーターになるための秘訣5選
https://jackiecolburn.medium.com/how-to-be-a-great-facilitator-d1438406c9f2
●ワークショップ当日にあると頼りになる道具
https://productcoalition.com/stock-your-facilitation-go-bag-with-these-tools-so-youre-prepared-for-almost-anything-d7d054cef664
●的確なワークショップ計画を立てるための手法
https://productcoalition.com/plan-and-pace-activities-like-a-pro-with-the-5-chapters-of-workshop-design-b686d26d6e23
●自分を大切にすること。地に足をつけた行動をとれること。
https://jackiecolburn.medium.com/tune-up-your-next-workshop-by-tuning-into-yourself-d122ac8240bd
●デザインスプリント実施までのステップ
https://jackiecolburn.medium.com/four-key-tips-for-running-your-own-design-sprint-9683d4cc4459
本を読むこと、学ぶことを止めないことを推奨しており、次の3冊が紹介されています。
SPRINT 最速仕事術――あらゆる仕事がうまくいく最も合理的な方法
Listen Like You Mean It: Reclaiming the Lost Art of True Connection (未訳)
Let Your Life Speak: Listening for the Voice of Vocation(未訳)
◆記事紹介:戦略デザインスプリント
以前紹介した Strategy Design Sprint の翻訳記事を見つけました。残念ながらこのMedium Blog 自身は現在休止中のようです。
他にも「経営者を動かし、納得感を生み出すデザイナーの説得術」「デザインの仕事においてROIをどのように見積もるのか?」「デザイナーが年次報告書を読むべき理由」など、興味深い翻訳記事が揃っています。
◆参加者の気持ちの盛り上がりとフラストレーション
ドイツのAJ&Smart、デザインスプリント専業のデザインエージェンシーのショート動画を紹介します。
Managing How Participants FEEL During A Workshop
ワークショップ参加者の気持ちの管理
デザインスプリントワークショップが始まって意気揚々としている段階から、フラストレーションが溜まって、うんざりとしている気分の段階、いろいろアイデアがでてきて楽しくなってきている段階など、全体の工程を通して気分が上がったり下がったりするのは当然のことです。参加者に対して「今は大変な工程だけれど、それは当然のことなんですよ!」と伝えて、参加者の気持ちをうまくマネジメントしていくのが大切とのこと。
◆Miroで振り返り
オンラインホワイトボード Miroの公式動画から、Host a Retrospective in Miro(Miroで振り返り)の動画を紹介します。振り返りのテーマを設定し、時間制限を設け、付箋をまとめていきます。まとめた話題に関して投票することもできます。振り返りはタイミングも重要です。記憶が曖昧になる前に、すぐに実施した方が良い場合もあり、振り返ることそのものはすぐに実施したとしても、それらをじっくり考えたり反省したりするには時間を置いてから冷静になって客観的に振り返った方が良い場合もあるでしょう。どちらの場合にも Miro は大変とのことです。
◆イベント紹介:DERTA JAM with BEECL vol.9
2023年2月25日(土)16:00~19:00 JR新潟駅直結の商業施設「CoCoLo南館」1F MOYORe
https://ddd-ng.connpass.com/event/273940/
近所にある都市型水族館で、アコヤ貝を使ったアクセサリー作りのワークショップが開催されていました。アコヤ貝は真珠の養殖に使われている二枚貝で、たぶんワークショップでは商品にはならない成長し切らずに亡くなってしまった貝などが活用されていると思われます。通常は米粒程度の真珠しか出てこないとのことですが、こういうワークショップが大好きな娘の選んだ貝から取り出したのは、宝石店のネックレスに使われるほどの大粒の真珠でした。びっくりです。
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