【デザインスプリント】Design Sprint Newsletter #084
よい仕事のためには自分を磨くこと / To improve your business, first improve yourself.
◆Character Labs:デザインスプリント+VC支援の募集開始
デザインスプリントとベンチャーキャピタルが組み合わさった新しいタイプのVCであるCharacterが、プレシード創業者向けの新しいスプリントプログラム「Character Labs」を発表しました。現在募集中とのこと。3%の株式と引き換えに、Characterから10万ドルの投資を受け、マイルストーンの条件は無し。
ここでは back-to-back (連続的、背中合わせ)と呼ばれるプロダクトと市場の適合性を高めることに焦点をあてたデザインスプリントを実施することで、VCによくある「それでは連絡をとりあいましょう」ではなく、スタートアップの成長と成功に深く関わっていきたいとのこと。
◆Miro CEO からのレイオフメッセージ
https://miro.com/blog/a-message-from-our-ceo/
TwitterやGAFAM系の勢いのあった巨大IT企業が続々と大量のレイオフをする中、勢いのあったオンラインホワイトボードアプリの Miro も小規模ながらレイオフのアナウンスからありました。フルタイム社員のうち7%の119名が会社から離れることになったとのこと。
アナウンス文面を読むと、法律やセキュリティに配慮した上で、最大限の便宜を図っていることがわかります。例えば、会社支給のパソコンも、セキュリティ関連の対処をした上で貸与するので、次の就職活動に使っても良いなど。とはいっても全体の1割に近い Mironeers と呼ばれる Miro 社員が去るのは大変なことだと思います。
ここからは私見ですが、IT業界は、新型コロナウイルスの影響で世界的に異常なほどに進んだリモートワークの広がりに飲み込まれ、ここ3年でこの先10年ほどのニーズや予算をイナゴのように食い尽くしてしまったのだと思います。そう考えると今は成長よりも生き残ることに舵を切るのも仕方ないことなのだと考えています。
話は変わって、景気後退期における対策は、脆弱性を発見する Black Duck の元CEO Lou Shipleyによると次のとおり。優良顧客を積極的に取り込むこと、優秀な従業員を大切にすること、独自の企業文化を大切にすることが、無駄遣いをせずに収益に貢献することにだけ資金を使うといった対策に、すぐに取り組まなければいけないとのことです。
◆Google Meet でリアクション機能が使えるように
https://support.google.com/meet/answer/13151720
ZoomやMiroでは以前からお馴染みだったリアクションを送る機能が Google Meet にも追加されました。正確にいつからこの機能が使えるようになったのかよく分からないのですが、最近のことだと思います。FacebookやSlack風の一連のアイコンが用意されているとともに、3種類ある「手」のマークの色を人種にあわせて変えられるところが今時のインクルーシブデザインっぽい感じです。
◆AJ&Smart:時間単位での請求をやめるべし
デザインスプリント専業の独AJ&Smartの最新動画を紹介します。いわゆる工数や時給といった時間単価で仕事の価値を求めるのではなく、それによってもたらされた価値の大小に報酬をあわせると良いと説いています。たとえデザインスプリントにかけた時間が6週間でも6時間でも、成果が同じであれば、同じ報酬でかまわないという考え方です。
AJ&Smart でも4,5年前までは時間単価で請求をしていたそうです。これは一般的なコンサルティング会社の積算方法です。もちろんコンサルティングにおける1時間あたりの報酬は企業によって異なります。時間単価の考え方ですと、実際には見積もり時に考えていた時間よりも多くの時間がかかってしまうかもしれませんし、実は思ったよりも少ない時間で完了するかもしれません。この方法だと、予算に合わない場合、予算内に合わせるために無理やり必要な作業が削られてしまう場合に品質を担保できなくなったり、赤字覚悟で時間を費やさなければならないでしょう。
そこでAJ&Smartでは、まず数時間単位の短い時間の仕事はやらないことにしました。例えば1時間ごとに確保できる時間に切り目ができたり、他の仕事をしてしまうとコンテキストスイッチと呼ばれる意識の集中が途切れてしまいます。そのことを考慮し、仕事で扱う単位は1日ごとで考えるようになりました。
さらにクライアントの全体数に応じて、価格を上げたり下げたりしているそうです。つまり依頼が多すぎる時は、価格を上げてクライアント数を適切な数にもっていき、逆にクライアント数が少ない時期は価格を下げてクライアント数を適切な数に調整するとのこと。
それらを踏まえ、「デザインスプリント ◯万ユーロ」といったパッケージ価格のみで扱うことにしたのです。このパッケージ化する方法は “Built to Sell”(未訳)という書籍から学んだそうです。この本はクライアントが理解できる方法でパッケージ化することに役立ったとのこと。
まず最小構成のリトリートパッケージ 3万5千ユーロ(約500万円)に含まれるのは次のようなものです。リトリートとは仕事場ではない別の場所で実施することで、いわゆる合宿のようなものをイメージしてもらうとよいでしょう。海外などの遠隔地の場合、これらに旅費や宿泊費が加算されます。
●主催者との1on1相談
●開催場所を探す
●ワークショップの設計
●開催場所への移動
●3日間の現地滞在
●振り返りのための写真を撮る
●開催レポートを作成し送信する
時間の長短を忘れて、結果にフォーカスすることが重要です。何かを素早く短時間で行えたからといって費用を値引きする必要はありません。それはあなたのもつ知見や経験が成し得た成果なのです。
AJ&Smartでは時間単価で報酬を得るタイプから、パッケージを丸ごとで提供するタイプに変えた際、残念ながら仕事の依頼が無くなった企業もあるそうです。ところがそういった企業も6ヶ月から8ヶ月後に、やはり自分たちだけではどうしようも無いことに気付いて、また仕事を依頼してくるようになったとのこと。それでも一部のクライアントは去っていきますが、それは問題ではなく、もともと除外すべきクライアントであったということです。
AJ&Smartではこれらの一連の手法を 5-1-6メソッドとしてまとめ、オンライントレーニングの紹介をしています。https://go.ajsmart.com/start
「ピカソの30秒」という逸話があります。ピカソが街であった人に30秒足らずでスケッチを描き「5000フランです」と言い「こんな短い時間なのに!」と反論された際、「今まで研鑽を積んできたから30年と30秒なのです」と応じた話に通じるところがありそうです(この話には諸説あって、元ネタはジェームズ・マクニール・ホイッスラーの絵画「ノクターン」らしいです)。
家族で、釣り堀で魚釣りができる居酒屋に行ってきました。手軽に釣りが楽しめ、釣れる確率も高く、釣った魚をその場でお寿司や揚げ物、お刺身にしてもらえます。魚それぞれにあらかじめ価格がついており、アジ860円を何匹も釣り上げてお寿司になって食べられたのは良い思い出になりました。次回は釣りやすいアジに加えて(父ちゃんの財布が)ヒラメ3900円に挑戦です。笑
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