【デザインスプリント】Design Sprint Newsletter #040
真実は幻想か、幻想が真実なのか / Is truth an illusion, or is illusion truth.
◆スプリントクエスチョンの役目
デザインスプリントの始めの工程で「スプリントクエスチョン」という問いかけを参加メンバー全員で共有します。この問いかけは、デザインスプリントの工程が進む中で常に見直して自分たちに問いかけ直し続けるのはもちろん、デザインスプリント最後に出来上がった試作品を正しく評価するためにも使われます。
デザインスプリントでは、基本的にはほとんどの事柄がボジティブに進みますが、この「スプリントクエスチョン」だけは異なります。悲観的に、このプロダクトやサービスが失敗するとしたら何が理由なのか、何が起こったらうまくいかないか、足を引っ張る外部要因は何かといった「失敗」するかもしれない懸念点を「問い」として提示しておきます。
「スプリントクエスチョン」は、解決しようとしている課題を列挙するものだと考えがちで、それはそれで正しいのですが、もう少し深い「問い」、俯瞰してとらえた「失敗の要因」を自分たちが描きたい未来を想像しつつ、解くべき「問い」を見出すのが大切です。もしかしたら課題だと思っていたことは、表層的な事柄でしかなく、その事柄は課題そのものではなく、他の事柄が真の課題だったりすることもあるのです。
この「スプリントクエスチョン」はチェックリスト的に用い、スプリントの各過程、最後の検証の段階で大切なことを見落としていないか?重要な要素を忘れていないか?という風に自分たちを客観的に見つめ直すことができます。大抵はスプリントが進むにつれてアイデアに皆が熱狂しているために「スプリントクエスチョン」にあるような悲観的要素は忘れがちです。ですから最初にこういった冷静な視点で「問い」を用意し、いつでもそこに立ちもどれるようにしておくことが大切です。
「スプリントクエスチョン」が大切なことはよくわかったが、なかなか適切な「問い」を考えるのが難しいと思われる時、とても良い方法があります。それは「スプリントクエスチョン」という解釈が難しい言い方ではなく「こんな○○は嫌だ!」という単純な問いにしてしまうのです。「○○」には自分たちがこれから考えようとしているプロダクトやサービスの名前、場合によっては、ある特定の機能名などを示します。
こうなったら嫌だな、こういうサービスになってしまったら嫌だなという想いや考えは誰もがすぐに導き出すことができるため、その中から皆が嫌だと思っていること、意思決定者が嫌だと思っていることなどを洗い出し、それらを少し言い回しを変えて「スプリントクエスチョン」とすると良い「問い」になるでしょう。皆さんもぜひ試してみてください!
◆Miroのコミュニティテンプレートが1000個を突破
Miroが公式に提供している以外にも Miro の Miroverse (メタバースとMiroの造語)にはユーザーが作成したテンプレートが公開されています。このたび1,000個を超えたとのアナウンスがありました。次の3つが人気があるそう。
Virtual 5-Day Design Sprint Template
https://miro.com/miroverse/virtual-5-day-design-sprint-template/
The Way We Work
https://miro.com/miroverse/the-way-we-work/
Get to Know Your Team
https://miro.com/miroverse/get-to-know-your-team/
個人的には以下のものがお気に入りで、いつも参考にしながらプロジェクトごとにテンプレートを作っています。Miro公式のテンプレートは広くたくさんの人に使われることを目的としているため一般的要素が並んだテンプレートが多いですが、Miroverseにある誰かが作ったテンプレートは少しクセがあるものが多いですが、それぞれの現場で培った、うまくいくパターンがテンプレート化されているため、とても参考になります。
Grand Studio の External Project Kickoff
https://miro.com/miroverse/external-project-kickoff/
Jake Knapp の Design Sprint テンプレート
https://miro.com/miroverse/design-sprint-jake-knapp/
AJ&Smart's Remote Design Sprint
https://miro.com/miroverse/remote-design-sprint-aj/
dxw の Design Sprints in a Box
https://miro.com/miroverse/design-sprints-in-a-box/
d.MBA の Strategy Design Sprint
https://miro.com/miroverse/strategy-design-sprint/
Agency in the Wild の Brand Sprint
https://miro.com/miroverse/brand-sprint/
◆Friends of Figma Tokyo (JP)
Figma の日本展開に合わせて、公式コミュニティ “Friends of Figma Tokyo (JP)” が発足しました。Twitter アカウント @fof_tokyo_jp や、コミュニティツール Discord も活用されています。もともと日本の Figma ユーザーはコミュニティが形成されていたため、今後の発展も期待されます。
Friends of Figma Tokyo (JP)
https://friends.figma.com/tokyo-jp/
現在は日本から購入できない Figma ストアの公式グッズの日本展開も期待されます。現在どれくらい要望があるのかアンケート中です。Tシャツとからもちろんですし、ピンバッジも可愛いです!
◆Evil 8s:邪悪8というテンプレートの使い方
Evil8s は、アイデアを出すことを恥ずかしがってしまう状況、なかなかアイデアが出てこない状況を打破するための手法です。最初出てきたアイデアをどんどん悪い方向に考えていくことで、そういった悪い状況を避けるという方法です。人にもよりますが、人間はなぜかポジティブなアイデアよりもネガティブなアイデア、心配事の方がどんどん出てくるはずです。Evolving Design のデザインスプリントファシリテーター Ben Rouse 氏による解説です。
◆How To Find Your True Passion : 本当の情熱のみつけ方
何をしたいのか、何に情熱を注いでいるのか注ぎたいのか、すぐにはわからない時、その反対のことを考えると良いそうです。何をしていない時に何をしていないことが嫌いなのか。例えば退屈が嫌いであれば、退屈しないサービスを考えることができます。またはゲームに時間を費やすのが嫌であれば、時間を浪費しないタイプのゲームを考え始めることができます。そういった逆の視点で考え始めることで今までにはなかった視点で物事を捉えられるようになります。
◆Facilitation Skills - How To Visualize Information:ファシリテーションスキル - 情報を可視化する方法
デザインスプリント中に、多数の情報に溢れ全体を理解しづらくなる場合があります。ドット投票によって、重要視する事柄を整理することもできますが、それだけでは整理仕切れない場合も多いでしょう。ここでは多数の情報を適切にわかりやすく整理する方法を紹介しています。例えば縦横2軸で、二つの評価軸でアイデアを整理することで、重要視するべき事柄、後回しでも良いことがらが明確にわかってきます。
雑然と並んでいるだけのポストイットから全てを把握するのは難しいですが、ひとつひとつのポストイットを、どちらが重要か、どちらの実現が簡単かといった比較をすることで、重要度順に複雑度順に並べることができます。雑然とした情報を整理するのも大切ですが、ポストイットを貼り始める時に2軸で整理しながらアイデアを集めていくなど、適切なタイミングで整理していくことも重要なポイントかもしれません。
◆デザインスプリントのネタに溢れる週も、ネタ不足に悩む週もあります。足りないネタはこれまでに蓄積してあったストックネタから引っ張りだしてくるのですが、それにしたって情報の鮮度とかタイミングとかいろいろあって悩みます。意訳:今週はネタ不足に悩まされました。
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