【デザインスプリント】Design Sprint Newsletter #020
構えとは起こり得るすべての状況に対応できる準備である / Preparedness is the readiness to respond to all possible situations.
◆CSS Nite オンラインセミナー終了。ご参加いただいた皆様ありがとうございました!
なんどか告知していた CSS Nite でのオンラインセミナー、オンラインホワイトボードをテーマにした少々風変わりなものだったため「ほんとに参加者いるの?」と、とても心配していました。けれどもフタを開けてみると多くの方々に参加していただけ、ほっとひと安心しました。
実を言うと告知し始めた頃は参加者がとても少なく、しょんぼりしておりました。その後、アドバイスを受け、セミナーのタイトルや告知文を修正してなんとか。普段仕事であれば充分UXリサーチしたり、人に聞いて印象や課題、修正した方が良い部分など指摘してもらうのは当然だと思っているのですが、自分のセミナーとなるとなぜか自分だけで文面やタイトルを考えてしまうのですよね。何事も人に聞くことで「気付く」ことがあるのだと思いました。
一方、参加者が多ければ多いほど良いように思えますが、何百人も参加となるとオンラインホワイトボードの体験に制限が出てきて、何らかの工夫が必要になります。希望者全員がオンラインホワイトボードを体験できるくらいの、ちょうど良いくらいの参加人数で、ありがたかったです。
ちなみにオンラインホワイトボードの同時利用者数、 Miro は閲覧だけなら1000人、同時編集は300人、FigJam は50人(Figma は閲覧500人、編集100人)、Google Jamboard は 50人です。もちろんこれらは公称値であって、ストレスなく使える程度を考えると、公称値よりも人数は少ないと考えた方が良さそうです。
人数が多く、参加者全員が1つのオンラインホワイトボードを利用し、なんだか遅くなってきた場合は、次のような工夫をすることで「少しはマシ」になります。
●参加者のカーソル移動表示をいったん止める(カーソル表示のあるツールの場合)
●できるだけChromeブラウザを利用する(他ブラウザに比べて速い場合が多い。ただしコンピュータのメモリの消費は他ブラウザよりも多い)
●ブラウザの他のタブを閉じて、オンラインホワイトボードのタブだけにする
●ブラウザの表示サイズを少し小さくし、表示面積を減らす
●専用アプリがある場合は、ブラウザではなくアプリの方を使う
(たいていのホワイトボードアプリの場合、アプリの中身は実質Webアプリのものも多く、あまりブラウザでの利用と変わりないとも言えます。けれども余計な拡張などが入っておらず、動作的にも無駄がなく最適化されています)
◆機能全部を使いこなす必要はない+まだまだ知らない便利機能を学び続ける
セミナーの中で「機能全部を使いこなす必要はない」「便利なショートカットを 1,2 個覚える」と伝えましたが、これはリモートデザインスプリント等、参加者は全ての機能を使いこなす必要は無いということで、逆にファシリテーター(進行役)は多くの機能を知り、あらゆるショートカットを使いこなすべきだなと再認識&反省させられました。
Miro のショートカット一覧
https://help.miro.com/hc/en-us/articles/360017731033-Shortcuts-and-hotkeys
●zoom to selected item(選択したアイテムを拡大)
Miro で、ある特定の付箋紙にフォーカスを当てて、拡大表示する機能、”zoom to selected item” のショートカットは macOS なら「Command + 2」、Windows なら「Ctrl + 2」です(これは Chrome ブラウザのタブ切り替えとぶつかる場合があるので注意!)。
”zoom to selected item” はとても便利な機能で、素早く見たいところを拡大するとても良い方法です。けれどもZoom等で画面共有している場合、とつぜん拡大されると戸惑う場合もあり、要所要所で使うのが良さそうです。
今回、この ”zoom to selected item” を初めて知り、今まで拡大縮小しながら見ていた手間はなんだったのか?と思い知りました。拡大縮小しながら見ると位置を把握しやすいので、迷子になりにくいという利点がありますが、大抵の場合、注目している付箋紙に書かれた細かい文字を素早く見たいというニーズが多いでしょう。
これをきっかけに、とりあえず全部の機能、全部のショートカットは一通り習熟すべきだと思いました。駆け出しの頃、/usr/bin ディレクトリにある UNIX の全コマンド試してみたり、Photoshopのツールの全メニューを一個一個試していた頃のことを思い出しました。
普段使い慣れているツールでも、たぶんまだまだ知らない機能があり、知っていると、何かの場面で便利に使えるハズです。Miro に限らず Zoom など、日々新しい機能が増えてきています。自分が使える機能だけに満足せず、実際に使うか使わないかは別にして、新しい機能を日々キャッチアップしていかないと!と思った次第です。
●Attention Management “Bring Everyone to Me” (みんな私のところへ!)
以外と知られていない Miro の便利機能に “Bring Everyone to Me”(みんな私のところへ!)機能があります。ホワイトボードを見ている人たちが画面上の場所で迷っている時、皆に注目して欲しい時、自分が見ている範囲と同じ画面を皆に強制的に見てもらう方法です。この機能を使うと一旦参加者全員の画面が切り替わりますが、その後の操作で再び自由に移動拡大縮小は可能です。Miro 画面の右上、自分のアイコンから操作できるメニューです。また全員を対象にではなく、特定の参加者を指定して「私のところへ!」来てもらう方法もあります。
●Copy & Paste, Stickies Capture(カット&ペースト、付箋取り込み)
セミナーの中で、参加者の評判が特に良かったのは、表計算ソフトに書き込まれた内容を一気に Miro の付箋紙化する方法と、写真撮影したポストイットを画像解析機能で Miro に取り込む方法でした。表計算ソフトの必要部分をコピーし、Miro 画面上でペーストすると、一気に個別の付箋紙が出現します。とても素早く便利に使える方法です。Miroに限らず FigJamでも同様のことが可能です。
Stickies Capture の機能も、これからリモート会議と対面会議が混在するような場合、現実世界のポストイットを Miro に取り込むと便利な場面も増えてくると思います。逆に Miro の付箋紙の内容を一気に表計算ソフトで読み込める形式に書き出すことも可能です。
●Hide(隠す)
今回のセミナーでは紹介しませんでしたし、利用もしなかったのですが、オンラインワークショップで便利な機能に “Hide” があります。これはネタバレを防いだり、先の作業に気を取られないよう、Miro 上のオブジェクトを「隠して」おくことができる機能です。
●Bulk mode(一括モード)
Miro で付箋紙にどんどん書き込んでいきたい時や、アイデアが溢れて一個一個付箋を用意する余裕が無い時、インタビューなどで次々メモを取りながら記入していきたい時などに、一括で付箋紙を生成できる機能です。
箇条書きで項目をどんどん入力し、Done を選択すると….
入力した分の付箋紙が一気に生成されます。箇条書き的な複数の項目を一気に入力するにはオンラインホワイトボードより表計算ツールの方が向いていると思いますが、この Bulk mode があれば、そんな状況でもうまく対処できるでしょう。
●必要な要素を素早く用意すること。素早く修正すること
なんでそんな作り方しているの?と質問がありました。カラフルな付箋紙に1文字ずつ「あかさたなはまやらわ」と記載したものです。
普通に考えると、それぞれの付箋に1文字ずつ書き入れます。ところが今回文字は1行で、付箋紙は文字無しで並べました。そしてその上に1行の文字列を重ねたのです。それは素早く短時間で作るための工夫が主目的でした。副次効果として文字の大きさを自由にコントロールできるからというのもあります。目的とすることができるのであれば、方法はともかく、素早く作れる方を選んで作業している気がしています。もちろん「急がば回れ」の時もありますし、共同作業などの時は変なテクニックを使わない方が良い場合が多いかもしれません。
以前ある人が「徹夜で何度も同じ作業をするのと、同じ作業時間プログラム書いて解決できるのなら、プログラム書くな〜」と言っていました。そういう考えが一般的かもしれません。ところがその一方、知人の百戦錬磨の凄腕プログラマーが「もちろん数分で書いたプログラムで全て解決できるなら徹夜よりもプログラム書く方を選ぶけど、徹夜で一個ずつ作業すれば辛いけど完璧に終わることがわかっていることと、不確実な要素を持っており、もしかしたら失敗したり間に合わない可能性あるプログラムで解決する手段であれば、自分なら徹夜の手作業で確実に完成させるな〜」と言ったのを聞いて、これこそプロだ!と思った次第です。
◆Jake の基本11ステップ万能ミーティングマップ
Miro が開催したオンラインカンファレンス Distributed 21 で発表された Jake Knapp 氏の「11-Step Basic All-Purpose Meeting Map」テンプレートが逸品です。一見ラフに見えますが Jake のオンラインミーティングに関するノウハウが、ギュッと凝縮されたテンプレートになっています。
https://miro.com/miroverse/all-purpose-meeting-map/
Step 1. 誰かがこの会議を運営しなければならない YES/NO
Step 2. 誰かが意思決定をしなければならない YES/NO
Step 3. この会議を開くには、本当に正当な理由があるはずだ YES/NO
Step 4. この会議はできる限り短くすべきだ YES/NO
Step 5. 簡単な基本ルールを説明
Step 6. 無言で記入
Step 7. 無言で情報共有
Step 8. 無言、無記名で投票
Step 9. 質問や議論
Step 10. 決定権を持つ人が最終決定
Step 11. 次のステップと課題の把握
◆さて、準備に精魂傾けたオンラインセミナーも終了し、ひと安心しました。このニュースレターもオンラインセミナー後、ぐんと登録者が増えたので、とてもうれしいです。この配信からご覧になっている方は下記リンクよいバックナンバーもご覧いただけると幸いです。引き続きどうぞよろしく。
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